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縦深防御


兵を展開する場合、もっとも有効に兵力を活用する陣形は、横にずらりと兵を並べる横陣と呼ばれる配置です。横陣は言わば戦術の基本であり、古今東西、ライフルが発達し密集陣形が取れなくなるまで戦場では横陣が最も採用された陣形でした。

縦深防御

縦深防御はこの横陣を縦にいくつも並べ、強力な盾にするという防御思考の戦術です。攻撃力の低さからこの陣形を使う機会はあまりありませんが、これを利用した武将に信長の存在が上げられます。通説によれば織田信長は十三の横陣を並べ、突撃する浅井軍を迎え撃ったそうです。

倍以上の兵力を持つ信長は少数の浅井の突撃を幾層もの陣で受け止め、消耗させる作戦を取ったのです。大兵力だからこそ取れる戦術でしたが、日本一の弱兵と呼ばれる織田軍団の兵に、浅井軍は大打撃を与えることになります。結果、十三のうち十一までが突破されますが、横で戦っていた徳川軍や敵の城を囲んでいた一部が左右から回り込んで包囲してくれたおかげで信長は勝利を得ることが出来ました。

結果論から言えば、世界一有名な包囲戦であるカンネーの戦いに似た結果をもたらしました。ハンニバルはカンネーにおいて敵の攻撃を中央で受け止めながら敵の騎兵を排除し、裸になった歩兵を包囲殲滅します。この際の中央の役割を果たしたのが十三の横陣で、これで精鋭である浅井軍を受け止めたからこその三方向からの包囲が成功したわけです。

もっとも、ハンニバルは二倍に近い敵に対してこれを行ったのに対し、信長は二倍以上の兵を用いてこれをやったために信長の評価は当然ながら高くありません。敵を圧倒する兵力を持たなければ意味がない上に攻撃的でもないために信長は以後、この戦術を再び用いませんでした。

信長は学習能力のある武将であり、一戦ごとに戦術の長所と短所にふるいをかけて戦術を発展させます。この縦深防御戦術は、武田との戦いでさらに進化した戦術として用いられることになります。



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