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騎馬武者と徒歩武者


戦国時代において、侍は二種類の選択をして戦いました。馬に乗って戦うか、下馬して戦うかです。これにはどちらにも優位性があり、騎馬武者は時として馬から降り、徒歩武者として戦場を疾駆しました。詳しく見ていきましょう。


騎馬武者と徒歩武者


------------騎馬武者の優位点と弱点------------

では、騎馬武者の優位点とは何でしょうか。やはり、馬に乗っていることです。馬の脚から生み出される速度は侍を戦場において高速で移動させます。馬の体重を利用した突撃は敵を壊乱させ、高い視点を持つことで戦場を俯瞰し、状況把握を助けることができます。

しかし、弱点も少なくありません。平地でなければ馬が走れないため、不整地において騎兵は移動すら出来なくなります。馬に乗ることでシルエットが膨張するため、遠距離から敵の攻撃を受けやすくなります。なにしろ、被弾面積が三倍近くになるわけですから。

何より、攻城戦に参加できません。陣形を組むこともできません。騎馬武者は強力な能力と引き換えに弱点まみれの兵科なのです。武器に関しても短い物しか装備できず、戦国時代の主力武器である長柄槍や鉄砲の装備は非常に困難です。

これでは徒歩で戦いたくなる気持ちもわかります。騎馬武者は長所と短所がはっきりしすぎている存在なのです。



------------徒歩武者の優位点と弱点------------

では、徒歩武者の優位点とはなんでしょうか。不整地突破能力、騎兵より質のいい武器を装備できる、歩兵と共に集団で行動しやすく、味方と共同して戦いやすい、などでしょうか。

物陰や盾の後ろに隠れるというのも地味ではありますが強力な長所ですね。狙い撃ちされたら終わりな騎馬武者と違い、竹束や置き盾の後ろに隠れれば、敵の攻撃を防げますからね。騎馬武者は攻撃に特化したために、防御を捨てている兵科なのです。

そこで、戦国時代の騎馬武者は状況に応じて馬の乗り降りを行います。大抵の武士には手綱持ちがいるので、馬から降りる時は手綱持ちに馬を任せて、自分は徒歩で突撃するのです。徒歩武者には、徒歩武者にしか出来ない特別な役割があったからです。

自分の足で歩く機会が少なくてすむ騎馬武者は、基本的に重装備です。厚い鎧の装甲は、遠距離でなら余裕で矢や鉄砲をはじきます。つまり、突撃の直前まで無事でいられるわけですね。接近戦においても、槍や刀を弾ける彼らの武装は重宝されます。

そのため、徒歩武者は一か所に固めて突破のための突撃に用いられることがありました。徒歩武者の一団が部隊の穂先になり、敵の陣形に突撃を仕掛けます。

彼らの武器は、持ち槍と呼ばれる短めの扱いやすい槍です。雑兵の長柄槍と正面から戦う事は出来ませんが、機動力を活かして弱点に食らいつけば、敵を壊乱させることができます。

雑兵の長柄槍が戦列を構築し、その乱れを徒歩武者が突くのです。陣形を瓦解する切っ掛けを作る、つまる所の缶切役です。それを雑兵が押し広げ、勝利を築きます。雑兵物語にも真っ先の突撃する徒歩武者の姿が描かれています。

このように、徒歩武者は攻撃にも防御にも優れました。厚い装甲から遠距離での射撃戦もこなせる武術の達人が役に立たないはずがありません。

騎馬武者には騎馬武者の、徒歩武者には徒歩武者の役割と活躍の場が、それぞれに容易されていたのです。どちらがダメなのではなく、適材適所だったわけですね。ただ、戦国時代においては騎馬武者よりも徒歩武者の活躍の度合いが強かった、それだけのことだったのです。

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