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槍絡み・槍衾


武器の項目でもちらりと触れましたが、一応ここでも説明しておこうと思います。戦国時代のみならず、世界の軍事史に影響を与えた長柄槍を駆使した戦術がこの二つ、槍絡み槍ふすまです。

槍絡み・槍衾

騎兵が好き勝手絶頂にやっていた時代の歩兵は武器が短く、とてもではないが騎兵という暴力に太刀打ちできませんでした。 しかし、騎兵に近づかれなければ対抗できると考えた天才が五メートル以上の槍を開発、それが実戦で使われるようになります。

とはいえ、問題がなかったわけではありません。槍が短かったのには理由があります。個人が扱うには、せいぜい三メートル前後の槍が限界でした。それ以上ともなると、敵が懐に入ってきたら対処することが出来なかったからです。

しかし、戦争は個人戦ではなく集団戦。複数人で五メートル越えの槍を密集させて突き出せば敵は懐の入ることが出来ず、アウトレンジから一方的に攻撃できます。この長柄槍による密集戦術が槍ふすまです。

騎兵は持てる槍の長さが歩兵に比べて短い傾向にあります。そのため、長柄槍を相手にした場合、騎兵は歩兵から先制攻撃を受けます。

さらに、馬は突起物を怖がる習性があるため、近づいてすらくれないこともあります。突っ込んでも、柔軟性に優れる槍によって馬ごと弾き飛ばされるなど、騎兵は槍ふすまの前では何もできませんでした。

ちなみに西洋で全ての歩兵が銃に銃剣を取り付けたことで格闘能力を得、槍が不要になると槍兵は消滅しますが、方陣という形で槍ふすまが使われ続けます。しかし、銃に銃剣を取り付けた槍の紛い物は騎兵の槍に比べると射程が短く、ナポレオン戦争の時代はいかに方陣を組んでも槍騎兵に突き崩されることもあったようです。

それに比べて戦国時代の槍ふすまはまさに鉄壁でした。騎兵は歩兵の密集陣に近づくことが出来ません。動きを止めたが最後、鎧を貫通できる銃弾や矢によって致命傷を受けることになります。さらに図体がデカいのでいい的です。結果、騎乗という有利を捨てて下馬して戦う騎馬武者の姿も珍しいものではなかったと聞きます。

この時代はある意味において騎兵にとって最悪の時代であり、これ以上ひどいのは戦車が新たな騎兵にとって代わるまで、日露戦争あたりから第一次世界大戦までです。戦場で馬に乗るのは自殺行為と思われ続けた時代だったからです。

このように鉄壁の槍ふすまを崩すには槍より射程のある弓や鉄砲の遠距離攻撃で外から嫌がらせをして崩すか、もしくは同存在である長柄部隊をぶつけるしかありません。

後者を選択した際に起きる長柄槍同士のどつき合いが槍絡みの応酬であり、これに耐えられなくなった部隊は崩壊します。長柄槍兵は軍において最大比率の兵であるため、長柄槍部隊が崩れれば戦いは負けたも同然になります。

逆に言えばこの部隊が残っていれば敗北することは少ないです。防御能力にも優れるために、鉄砲が部隊の比率を増すまで、この部隊が主力だったことは驚くに値しません。

こうして、戦国時代では槍絡み・槍衾の二種類を駆使して活躍しました。長柄槍部隊は自分より射程の短い接近戦部隊にも有利だったので槍絡みが他の白兵戦部隊に用いられたことは想像に難くないことでしょう。



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