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毛利家の戦闘教義


三英傑に続き、次は毛利です。知名度的には、ここらで武田を持ってくるのがデフォですが、三英傑に準ずる戦国武将って言ったら、毛利元就しかいませんよね。武田はその次くらいだと思います。では、毛利家戦闘教義、戦術と軍隊を見てみましょう。


『戦術面』
分進合撃
外線作戦

『軍隊面』
水軍重視




一番人気のある中央戦線から離れているために割を食っていますが、実は武田信玄以上の英雄であると考えられます。超弱小勢力からの成り上がりとういう点で、管理人からは評価が高いです。武田信玄はスタートラインがかなりいいんですよね。信長ですら、毛利に比べれば恵まれている方ですし。

さて、本題に戻りましょう。毛利家は戦術面では独特なものを持ち、さらに水軍が優秀という特徴を持っていました。無敵の毛利水軍は織田水軍の鉄甲船に敗れるまで最強の名を欲しいままにします。では、見ていきましょう。



------------ぱっとしない陸軍と無敵の水軍------------

正直言って、毛利家の陸軍は他国の部隊と比べて大した違いはありません。それに対し、瀬戸内海が近いことから水軍の資質が高く、制海権を握ることで多くの戦いを有利に運びました。

有名な厳島の海戦や大友氏との九州戦役、本願寺を援護した石山合戦の制海権奪取など、活躍事例は枚挙に暇がありません。毛利の栄光の終わりは毛利元就の死ではなく、水軍が鉄甲船に敗れた瞬間だと考えるのは、私だけではないかもしれませんね。



------------戦術面での大きな特徴------------

軍隊において独特のものを持たない毛利軍でしたが、実は戦術面ではかなり多くの特徴があります。それは、徹底した外線作戦重視という態度です。

戦闘は基本的に敵を包囲した方が有利です。包囲した方は包囲された側に対して相対的に多くの兵士を瞬間的に戦わせることが出来ます。さらに、包囲された軍は圧迫感から士気が低下し、敗北することになります。

そこで、基本的に軍は敵を包囲するように動きます。予定戦場まで味方を分散させ、戦場で敵を包囲できるように動く戦略機動を外線作戦、逆に分散して包囲しようと動く敵を確固撃破する戦術を内戦作戦と言います。

どちらが有利かと言うと、確実に外線作戦と言えるでしょう。確固撃破と口で言うのはたやすいですが、敵が合流する前に敵を撃滅するのは難しく、手間取れば包囲されて敗北することになります。内戦作戦を得意とする武将は間違いなく名将で、信長やナポレオンが有名でしょう。

しかし内戦作戦は、天才ナポレオンですら持て余した戦術です。彼の得意戦術は少数部隊で敵の一部を足止めし、主力で分散した敵を叩くという形の内戦作戦です。彼の敗北はこの内戦作戦が失敗した場合が多く、ワーテルローでは足止め部隊を回避したプロイセン軍の外線作戦によって包囲撃滅されています。

そこで、毛利は常識的な外線作戦を得意とします。しかし、外線作戦にもリスクはあります。分散した状態は撃破されやすい体勢であるため、行動中は常にリスクが付きまといます。しかし、成功すれば全軍を同時に操る以上の戦果をあげます。毛利家はそれを好みました。

外線作戦で敵を包囲するように機動した例としては、厳島の戦い・折敷畑の戦い・九州戦役・朝鮮討伐などが上げられます。それぞれの戦いの決勝点で、毛利軍は複数方向から敵を包囲し、勝利を稼いでいます。

『分進合撃』と『外線作戦』の二本柱こそが、毛利軍陸戦の真骨頂と言えるでしょう。



------------元就個人の戦術能力------------

毛利元就はわかりやすい知将であり、戦場におけるそれはあまり独特なものではありません。外線作戦や外周包囲、奇襲という以外の点で目立つところは少なく、篭城戦がうまく、野戦に強く、水軍の扱いがうまいと言う全てが平均以上の名将と言えるでしょう。どこか家康っぽい感じがします。

元就の本領は戦場の外であり、卓越した外交能力と敵をだます謀略にあります。偽情報で敵の家臣を処刑させたり、不利な地形を有利と見せかけて誘引したりなど、戦術よりも戦略を好んでいた武将だと言うことがわかります。



------------毛利家の戦闘教義の総括------------

瀬戸内海に接することで強力な水軍を持つ毛利家は他家にない大きなアドバンテージを持っていました。陸を進むより海を進むほうが格段に早く動けるため、戦術機動において他家を凌駕する速度が出せたのです。

神速を武器にする織田軍よりも早く機動する毛利軍は、数々の戦場を船で行き来し、敵の意表を突く形で勝利を稼いでいます。その没落は敵が自分以上の水軍を得た時に起こり、制海権を失った毛利家はまさに水を失った魚のように、その力強さを削がれてしまったのでした。



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