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鉄甲船と亀甲船


どちらの船も存在そのものがファンタジーとしか言いようがない船で、実在がかなり怪しまれています。鉄甲船はその名前の由来が、亀甲戦はその装備が疑われており、おそらくどちらも想像の形では存在していなかったでしょう。

鉄甲船と亀甲船

『日本の鉄甲船』

では、鉄甲船から見ていきましょう。水上戦闘と焼き討ちに長けた毛利水軍にメタクソに叩かれた織田軍の九鬼嘉隆は、毛利水軍を打ち破るべく、織田信長からある新兵器を託されました。それが鉄甲船です。

三門の大砲と多数の大鉄砲を積み込んだこの船は、当時鉄砲が最強武器であった海戦において、火力革命を引き起こしました。さらに毛利の得意とする焼き討ち戦術を防ぐために表面を薄い鉄板で包むことでその防御力を極限まで高めました。

当時の戦国時代を知る一級資料とされる信長公記によると六隻の鉄甲船で三百の毛利水軍を蹴散らしたそうです。嘘くさいですね。ですが、嘘とも言い切れないのが世界中の戦史を学んできた私の意見です。

第一次世界大戦の折、今から見ればオモチャと大差ない性能の戦車がはじめてイギリス軍によって使用されました。この新兵器の登場の瞬間、ドイツ軍は総崩れになり、戦線が一気に数キロ後退したといいます。新兵器の奇襲効果はそれほど大きいのです。

おそらく、毛利水軍にとって海上で大砲を打ち込んでくる敵は想定の範囲外だったのでしょう。そもそも大砲が想定外の兵器でした。当時、大砲を所有する武将は大友宗麟だけで、国崩し以外の大型砲は日本に存在していないとオルガンティーノさんはおっしゃっていました。

その彼がはじめて鉄鋼船に乗り込んだとき、船の中に三門の大砲が存在したことに驚きを隠しませんでした。つまり、新兵器による奇襲だったわけです。鉄甲船は鉄張り装甲をしていたことが疑問視されていますが、大砲を積み込んでいただけでも新兵器としての価値は十分すぎるといったところでしょうか。

さて、鉄甲船は鉄の装甲があればこその鉄甲船であり、鉄装備がなければただの安宅船(大型船)です。その名に偽りありです。ですが、大砲を積んだ新造戦艦であったということだけはゆるぎない事実です。

ちなみに、鉄甲船は改造安宅船であり、帆船なので沿岸のみならず遠海上でも戦闘が可能でした。ガレー船にはない長所と言えるでしょう。 西洋のガレアスに相当する船なのですね。



『朝鮮の亀甲船』

さて、亀船の説明に入りましょう。亀船も鉄甲船と同じように一人の天才によって作られました。その天才こそ、朝鮮最大級の英雄である李舜臣です。彼は朝鮮役が始まる直前にこれを完成させ、日本との戦いに挑みます。

朝鮮水軍の主力戦艦は板屋船と呼ばれる帆船ですが、この亀船はガレー船です。おいおい、旧式かよ、と突込みが入るかもしれません。たしかにガレー戦は過去の兵器ですが、その底力をなめてはいけません。かなりヤバイです。

そもそも、ガレー戦は速度において当時最速であったために戦場で使われてきました。そして、背が低いために遠海で使用できないという弱点はありますが、沿岸部では最速の危険な船として猛威を振るいます。これを撃破するには火力で圧倒するガレオン船を持ってこない限り難しいでしょう。

ちなみに、この戦場を選ぶという特性は最後の最後で李舜臣の運命を決めます。亀船から切り離され、遠海上で日本軍と戦った李舜臣はあっさりと日本軍に討ち取られてしまうのです。

さて、では亀船の詳細を述べましょう。亀船は板屋船を改造した船であり、船の上に板をかぶせ、板の上には十字の細道を作り、人がギリギリ通れる程度のものでした。そして、いたるところに刀錐をさして足を踏み入れる場を封じました。あきらかに乗り込み対策です。

さらに、戦闘時には上に草をかぶせることで刃を隠し、乗り込んできた敵は串刺しになって死にます。とてもではないですが、乗り込み戦闘は出来ません。亀船には左右に銃眼が六つあり、遠距離戦闘を重視されています。敵に包囲されても前後左右からの砲撃で敵を駆逐できました。

以上が亀船の仕組みです。どこにも鉄板装甲については明記されていません。想像復元模型によると覆われた上方の板が金属製になっています。鉄甲船と同じで全体ではないようですね。

実際のところ、手漕ぎであるというあたりから鉄の装甲はなかったと思われます。松材で重い上に鉄の装甲まであったのでは、とてもではないですが水兵がギブアップします。

聞いた話ですが、復元した亀船を実際に動かそうとしたところ、十分くらいで兵士たちがひっくり返ってしまったそうです。重量過多だったのでしょうか。

それに比べれば、まだ鉄甲船の方が望みがあります。鉄甲船は帆船なので、人力ではないのです。まぁ、程度の差ですけどね。

ただ、以下の考察では面白さを重視してどちらも装甲有りで行きます。とりあえず、読者の皆様は管理人がわざとやってると認識してもらえさえすれば満足です。では、次に進みましょう。



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