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戦国時代 〜日本戦史知名度最大〜


今回は日本の戦国時代について語ろうと思います。 あまりにも有名なこの時代は室町幕府の崩壊から徳川幕府による天下泰平までを描いた史実です。

興味を持たないと手をとりづらい三国志と違い、大河ドラマや歴史の教科書にも登場するので知らない人はいないはず。 管理人が世界史で1、2を争うほど好きなこの時代ですので、きっと楽しめることでしょう。



まずは、この時代のデータから表示していきます。

舞台:日本(他、朝鮮、琉球など)

時代区分:群雄割拠からの統一もの

兵種関係:歩兵=主力兵科 騎兵=補助兵科 砲兵=攻城戦特化

特記事項:火薬を利用した兵器の登場による戦術革命、百年以上続いた内戦、脅威勢力に対する他勢力の包囲同盟、後継者戦争



戦国時代は応仁の乱により、室町幕府が事実上崩壊することによって始まります。 中央政府が役立たずになったため、各地の地方勢力が独立。 建前では室町幕府の権威を認めながらも、誰もが好き勝手絶頂しはじめることで混乱は長引き、日本は百年以上の歳月、統一されることはありませんでした。



日本の戦国時代は中国の三国志とは違い、統一へ向けての動きが後半一気に訪れます。そのため、有名な人物は後半に集中しており、1467年に始まりながら信長が登場する年まではつまらない雑魚勢力がちょろちょろ何かやっているだけの面白くない時代が続きます。

もちろん、目を見張る武将もいるのですが、中世ヨーロッパのごとく、戦記としてはそこまで面白くない時代と言えるでしょう。



弱小勢力や成り上がりが気を吐き、その支配領域を一気に押し広げる時代こそが戦記がもっとも熱い時代。 そのような考えから、今回語るのは戦国時代の後半、織田信長の登場以降とさせていただきます。 それ以前はマニアックすぎるので、ここでは割愛。 熱い武将もいっぱいいるんですけどね。



この時代の人間で知っておかなければいけない人物は、まぁ三傑と呼ばれている『織田信長』、『豊臣秀吉』、『徳川家康』の三人です。 彼らが順に日本の覇者になる過程こそが戦国時代と言えましょう。 それでは、織田信長から説明を始めたいと思います。



五千の兵力を養うのがやっとの弱小勢力であった織田家。 織田信長はこの兵力を、最終的には十万以上までに高め、日本の三分の一を支配するまでにのし上がります。 織田信長の勢力拡張には大きな要素が存在していましたが、代表的なものが二つ存在します。それは、鉄砲と兵農分離です。



世界史におけるヨーロッパの価値を、大陸の端っこにいる群雄割拠した弱小勢力の群れから世界史そのものにしてしまうほどの威力を持つ鉄砲。 日本にも持ち込まれたそれは、日本史の戦場を大きく塗り替えました。 鉄砲の持つ破壊力は大抵の鎧を貫通し、鎧の存在価値を著しく低下させました。

さらに多大な訓練なしでは扱えない弓矢と違い、鉄砲は大量動員の時代にもうってつけの強力兵器でした。 訓練容易で威力抜群な鉄砲は、自然と戦場においてなくてはならない存在へと変化していくのです。

弱点は多かったですが、それを補ってあまる威力があったからです。 そのため、信長は日本一の弱兵と呼ばれた尾張兵を率いて天下を目指すことができました。



兵農分離は兵士の大量動員と大きな係わり合いがあります。 通常、戦国武将は盟主の元に集う地方勢力の集合体であり、その兵士たちは徴兵した土着の兵士たちであり、その大半が農民でした。

彼らは兵として大きな素質がありましたが、農民であるために田畑の世話をする時期は戦争に参加できず、自然と大名たちの戦争を制限してしまっていました。 これに対し、信長はその主兵力を職業軍人である傭兵中心に変えていきました。



田畑の世話を気にせずにすむ傭兵は時間を気にせず戦場の投入できる扱い安い歩兵たちです。 少し前の中世真っ只中であれば、寄せ集めの歩兵は騎兵にはかないませんでした。だから戦争は騎兵中心であり、歩兵はそれに数段劣る兵科として補助をする存在でした。

戦史をつぶさに見ていくとその時代の補助兵科を効率的に使うものこそが名将の名を欲しいままにすることが多いです。

そのため、中世の名将は騎兵中心の時代でも歩兵を大活躍させることはできましたが、それでも騎兵は圧倒的な存在でした。人間の数倍の体重と速度を持つ騎兵は、その巨大な力から重装甲の鎧を人馬ともに纏うことが可能だったからです。

歩兵は自力で歩く必要があるために鎧は騎兵に比べて貧弱なものであり、攻撃力・防御力・速度とどの点から見ても騎兵にかなう存在ではありません。

しかし、強力な弓が騎兵の装甲を貫通するようになると騎兵の価値は低下をはじめ、その兆候は鎌倉末期にも見て取れました。 そして、騎兵の突撃を防ぐ長柄槍、鎧を貫く鉄砲の登場が歩兵の地位を騎兵以上のものにかえます。

こうなった時、大量動員を行える兵農分離と鉄砲との組み合わせが強力な力を生みます。 最新兵器を駆使し、大量動員での兵力優越を前面に押し出して信長は敵対兵力を駆逐していきます。

あせりを見せる敵対兵力は、単独では信長に適わないと同盟、信長の勢力を押し包むように『信長包囲網』と呼ばれる対信長大同盟を作り上げます。

強力な勢力の出現に対し、同盟を結ぶのは弱小勢力の常です。 古代でいえばペルシアに対するギリシャ諸国の同盟。 近代で言えばナポレオンのフランスに対する欧州諸国の対仏大同盟などが例としてあげられるでしょう。

このように外交に失敗し、包囲網を展開されると大抵の勢力はそれで詰みます。 世界史のその名を燦然と輝かせるナポレオンや欧州最強ナチスドイツ、唯一気を吐いていた黄色人の希望たる大日本帝国も他勢力に外交戦に敗北した場合は滅びの道が約束されていました。 しかし、信長はこれを見事に瓦解させます。

次々と敵対勢力を確固撃破した織田信長は天下人にもっとも近い人間になります。 しかし、本能寺において少数で逗留しているところを明智光秀に裏切られて敗死。 日本史における、一番の人気者はここで舞台を降りることになります。

これで戦国時代の一番面白い時代は終わり。 いえ、違います。 管理人的に言えば、ようやくお膳立てが整ったとでも言ったところでしょうか。

織田信長がおっ死んだことにより、織田信長の後継者をめぐるための後継者戦争が彼の息子ではなく、その周囲の有力者によって引き起こされました。

織田信長を暗殺した『明智光秀』。 織田家最大勢力たる『柴田勝家』。 織田家の同盟者にして巨大勢力である『徳川家康』。 そして、ここから時代の主人公にのし上がる『豊臣秀吉』です。

厳密的に言えば、後継者戦争における参加者はまだ存在します。 しかし、説明が長くなるので割愛。 重要人物だけ描いていこうとおもいます。

信長死亡までの戦国時代は、信長の信長による信長のための成り上がりストーリーでした。 しかし、ここからは豊臣秀吉と徳川家康という主人公とライバルが牽引していくことになります。問題は、この時代の家康はライバルといってもバイキンマンのように弱いライバルであったことです。

信長の死後、豊臣秀吉は明智光秀を討滅。 返す刀で柴田勝家を滅ぼし、一瞬にして日本最強勢力にのし上がります。 そして、まだ戦いの構えを見せる家康に襲い掛かります。

七万の兵力を抱える秀吉に家康は三万。 しかし、弱兵を率いる秀吉と違い、精強で知られる兵を率いる家康はこの戦いで善戦。 最終的に降伏するものの、巨大兵力を抱えながら秀吉の部下になることに成功します。

最終的に秀吉は天下統一を果たしますが、獅子身中の虫である家康をとうとう最後まで駆逐できませんでした。 秀吉の死後、これは致命的な結果を招き、関が原、大阪の陣という有名な戦いの後に豊臣家は滅亡することになります。

豊臣滅亡を成し遂げた家康は、後に二百年以上対外戦争を行わなかった、世にも珍しい平和国家の樹立に成功することになります。



〜軍事的に見てみた〜

構成を間違えて『軍事的に見てみた』を上で語ってしまったので短めにいきます。

1、昔は騎兵の時代だったが、騎兵を近づかせず一方的に倒せる長柄槍、たまに鎧を貫通する弓、ほとんどの鎧を貫通する鉄砲の存在で騎兵の価値が低下し、相対的に歩兵の価値が向上。

2、鉄砲の登場で鎧の存在価値が低下。 しかし、弓や槍が戦場に存在するために脱ぐわけにもいかない。 対鉄砲に特化した鎧や、鉄砲への防御はあきらめてる系の鎧、機動力重視で兜しかかぶらない部隊の登場を促した。

3、歩兵中心の時代であるために動員力が跳ね上がり、戦場で相対する兵士の数が上昇した。鉄砲の存在のおかげで、大量の人員を少ない量の訓練だけで戦場の投入できるようになった。
このように、鉄砲は戦場に大きな変革を生み、それを浮き彫りにしたのが鉄砲で騎馬隊を撃滅したという伝説を持つ長篠の戦いを生み出しました。

しかし、風の強い日や雨に日には使えない、一発打つのに三十秒かかるなどこの時代の鉄砲は弱点まみれであり、鉄砲装備率の低い大名でもこの弱点を突けば鉄砲相手に善戦も可能でした。

鉄砲の使えない状況ではハイテク兵器ではなく、弓のようなローテクの兵器が活躍します。
つまり、弱点を突けば弱小勢力でも勝利を狙えるという夢のある時代であったと言えましょう。



〜まとめ〜

戦国時代は歴史ものとして楽しむ場合、非常に恵まれた時代であり、題材に事欠かないことから死ぬまで楽しめる時代であると考えられます。 まず、第一に時代区分が長いという長所があげられます。

1467年から1615年の豊臣滅亡まで152年、1638年の島原の乱を加えれば175年間という長期間を抑えているというのが大きいです。

区分が長ければそれだけ拾い上げる時代、エピソード、人物が多くなりいろいろな視点から歴史を楽しむことができます。 信長以前、信長時代、信長以後と大きく区分できますが、それぞれの時代にそれぞれの物語があるから楽しみにことかきません。

第二に日本の独特の地形が挙げられます。 細長いことから地域ごとに戦記を楽しむことができ、しかも激変が鉄砲伝来以後に来るのでどの地域も熱く盛り上がれること請け合いです。

まず、誰もが最初に盛り上がる信長、秀吉、家康が活躍する中央日本。 弱小勢力から中国地方の覇者となった毛利元就の活躍する中国地方。四国統一を果たした長宗我部元親が活躍する四国地方。

武田信玄、上杉謙信、北条氏康などの名将で有名な関東、中部地方。 独眼竜の異名を持つ名称、伊達政宗が活躍した東北地方。 そして、三国時代に突入する熱き物語を誇る九州地方。

大まかにくぎるだけでもこれだけの地域で独自の歴史が展開されており、一箇所に飽きても他地域で楽しめるために飽きがきにくいという強みがあります。 細かくわければ大名ごとにスポットライトをあてて物語を楽しむこともできます。

マイナー大名、山内一豊を描いた功名が辻などはその代表作とでも言ったところでしょうか。兼山記などのマイナー資料に視線を向ければ、鬼武蔵が無双する物語を楽しむこともできます。



第三に戦記をもりあげる数多くの要素を豊富に内包しているという点も見逃せません。

1、弱小勢力の成り上がり、農民が天下人になるというわかりやすく面白い展開。(例・多数)

2、巨大勢力に対し、弱小勢力の大同盟(例・ペルシャ対ギリシャ、ナポレオン対ヨーロッパ諸国、等)

3、大英雄死亡後に勃発する後継者戦争(例・アレキサンダー大王死後のディアドコイ戦争)

4、大陸侵攻の失敗と国内で発生する内戦(例・英仏百年戦争とイギリスのバラ戦争)

5、新兵器の導入による劇的な勢力の変遷(例・幕末の日本、欧州における戦車と戦闘機が活躍した第二次大戦、重火器を得てハワイ諸島を統一したカメハメハ大王、など)



これだけ複数の要素をもつ時代が面白くないわけがありません。 問題は鉄砲の存在で、鉄砲登場以降の時代を毛嫌いする人にはあまりいい時代ではないかもしれません。

鉄砲の存在によって接近戦が駆逐され、英雄が活躍しにくい時代になってしまうのだから気持ちはよくわかります。

しかし、ぜひとも逆に考えていただきたい。 誰が持っても圧倒的な力を得るハイテク兵器の鉄砲に対し、刀や槍、そして弓などのローテクで立ち向かおうとする男たちの姿を。 きっとワクテカして夜も眠れなくなること請け合いです。

絶対に面白い時代なので、ぜひとも楽しんでいただきたいと思います。



最後に、この時代に関する作品をいくつか紹介することで終わりたいと思います。




マンガ

織田信長 横山光輝

無難に面白い横山先生の作品。風雲児、信長の生涯を描いた傑作です。



豊臣秀吉 横山光輝

豊臣秀吉の成りあがり人生を描いた作品。やはり戦記はサクセスストーリーが面白いので横山さんの戦国マンガでは一番のお気に入りです。



徳川家康 横山光輝

徳川家康の生涯をバッチリと描いた傑作。少し長いが一読の価値はあると思います。



センゴク

資料を丹念に読み込み、リアルな戦国時代を描く異色の作品。主人公はマイナー大名の仙石秀久だが、普通に面白い作品です。



秀吉でごザル!!

上記のセンゴクとは対照的な面白さを追求した作品。ややファンタジー要素も交えた秀吉が主人公の作品。



へうげもの

『武』を描くのが当然な戦国時代マンガでありながら、『美』を描く異色のマンガ。芸術に命を賭ける男の生き様が見られます。








以上の作品を紹介して、戦国時代の解説を終わらせていただきます。




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